日商簿記1級に2度目の受験で見事に合格し、税理士試験の受験資格を手に入れた筆者。
現在進行形で税理士試験に挑戦中ですが(簿財消合格済)
低学歴で自分に自信がなかった数年前とは大きく変わりました。
ネット上に溢れるスター級の受験生とは程遠い凡人の受験歴ですが勇気を出して晒します。
・税理士試験に挑戦しようか悩んでいる方
・税理士試験に挑戦中で心が折れそうな方
・低学歴でも一発逆転人生を変えたい方
そんな方々の参考になればと思い、これまでの筆者の受験歴などをまとめました。
ベテラン凡人受験生の受験歴を見て、自信をもってもらえれば嬉しいです。
この記事でわかること
- 筆者の受験歴
- 合格年度の成績・勉強時間
専門学校に行けるなら
独学も専門学校も両方経験した筆者的には、「専門学校行けるなら行った方が絶対に良い!」
「独学では絶対受かりません!」とは言いませんけど、やっぱり非効率なんですよね。
資格試験では大事な論点、大事ではない論点が分かれます。
独学ではどこが大事なのかがわからないので無駄に悩んだり、どうしても時間がかかってしまうんですよね。
なので最短で合格したいならやっぱりプロの力は借りるべきです。
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筆者の受験歴

これまでの受験歴は以下のとおり。
・平成28年 簿記論A判定 財務諸表論合格
・平成29年 簿記論A判定 消費税法B判定
・平成30年 簿記論A判定 消費税法合格
・令和元年 簿記論合格
・令和2年 新型コロナウィルスの影響で受験せず
・令和3年 法人税法 不合格
・令和4年 法人税法 不合格
詳しくみていきましょう。
平成28年 簿記論 財務諸表論
簿記論

日商簿記1級に合格後すぐにTACの税理士講座に申込みしました。
簿記論は基礎マスター+上級コースを選択。
ネットの情報どおり講義のほとんどはすでに1級で学習済みの内容でした。
1級合格レベルであれば簿記論の講義は不要です。
独学で過去問演習をして直前期から資料通信で答練だけ受ければ充分に合格可能です。
筆者の普段の答練の成績はだいたい上位20%ぐらいでした。
4回の受験の中で1番簿記の力はあったと思います。
公開模試はS判定で正直「余裕だな」と感じました。
しかしここからそこそこできる受験生がおちいる簿記論の罠にハマってしまいます。
本試験でも自信満々の筆者は素読みもせずに、第一問の頭から順番に問題を解きはじめます。
初めての本試験で緊張ももちろんありましたが、何となく落ち着かない気持ちのまま解き進めます。
その結果、第3問に入る前に70分も使ってしまうのです。
大急ぎで第3問を解き、ひととおり解き終えます。
数日後、自己採点で凍りつきました。
ふわふわした気持ちで解いた第一問がボロボロの出来。
第3問もAランク問題を見落としてBCランクばかり正答していました。
TACのボーダーラインにぎりぎり届かずぐらいの点数でしたが、第一問のボロボロ具合から望みはかなり薄かったです。
普段の答練の成績で上位になったことで完全に浮かれていたのです。
12月の結果はA判定で不合格でした。
勉強時間はだいたい500時間程度です。
働きながらの簿財同時学習は簿記1級からでもなかなかきつかったです。
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財務諸表論

財務諸表論は筆者の受験歴で唯一苦労した記憶がない科目です。
これは全経上級を取得していたことが大きかったです。
全経上級では日商簿記1級より会計学で理論の論述問題が多いので、財務諸表論の理論は知識を上乗せしていく感じで大丈夫でした。
財務諸表論の理論は税法科目のように丸暗記でなくても、キーワードをつかって結論が合う文章が作れれば合格できます。
全経上級は転職市場ではあまり評価されないマイナー資格ですが、税理士試験の受験資格にもなりますし、財務諸表論の理論対策にもなります。
受験資格がない場合は是非受験することをオススメします。
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本試験の問題では包括利益やヘッジの問題がされたようですね。
正直まったく憶えてないのですがw
本試験後の自己採点はボーダー+2、3点ぐらい。
普段の答練は上位10%前後、公開模試はAランクでした。
勉強時間は約500時間です。
12月の結果は合格でした。
初受験で1科目取れたのは精神的に非常に重要でした。
これが無ければ心が折れていたかもしれません、合格科目が勇気をくれます。
財務諸表論は本試験でも時間が足りないとはあまりならない科目です。
計算は簿記論をやっておけば表示科目と注記だけでOKですし。
理論があるので専門学校を利用したほうが楽ですが、独学でも合格は可能だと思います。
サクッと合格してしまいましょう。
ポイント
成績優秀者は「簿記論の罠」に注意!全経上級は財務諸表論の理論対策にもなるのでオススメ!
平成29年 簿記論 消費税法
簿記論 2年目

初受験の不合格通知がきてからTACの上級コースを申込みました。
今思うと直前期の答練だけで充分だったと思います。
論点をだいたい学習済みであれば簿記論はアウトプットを重視すべきです。
消費税法とのダブル受講で講義を試聴するだけで勉強時間のほとんどを使っていました。
それでも前年までの蓄積があったので普段の成績は上位30%ぐらいでした。
公開模試はA判定、消費税法に時間を取られて計算力がだいぶ落ちているのを感じましたね。
理論が無いとはいえ、働きながら税法科目との二科目受験は厳しいです。
消化不良で共倒れになる可能性大です。
「まぁ受かるだろう」ぐらいの気持ちで臨んだ本試験ですが
12月の結果はまたもやA判定、自己採点ではぎりぎりボーダー付近だったので精神的にかなりこたえました。
税理士試験をやめてしまおうかとも思ったくらいへこみました。
2年目の勉強時間は400時間ぐらいです。
消費税法

初受験で簿記論が戻ってくる可能性が高かったため、初めての税法は消費税法を選択しました。
会計事務所の実務で消費税法の知識が必須だと感じたからです。
また当時は軽減税率やインボイスといった論点もなく、まだミニ税法と呼べるボリュームでした。
なので簿記論との二科目合格も夢ではないと甘い考えをもってしまったのです。
初めての税法科目ですぐに衝撃を受けます。
講師は当然のように「このページを丸暗記してください」と言ってきます。
財務諸表論のようにキーワードで作文するのではなく丸暗記です。
自分の中で理論暗記のやり方も固まっていない初の税法はボロボロの成績でした。
答練で上位に入ったことは一度もありません、公開模試は確かBランクだったと思います。
本試験直前でも完璧と言える理論はほとんどありませんでした。
簿記論が受かればOKといった考えでほぼ記念受験です。
本試験ではベタ書きが書けずに試験終了時点で不合格を確信。
自己採点もしていません、本命の簿記論も不合格で一番つらい年でした。
ポイント
税法ナメたらあかんぜよ!ミニ税法でも複数科目受験はかなり大変!
平成30年 簿記論 消費税法
簿記論 3年目

3年目にもなると勉強のモチベーションがだいぶ下がってきます。
とくに簿記論は改正点もほとんど無く、毎年同じような勉強内容なので。
・このままの勉強で合格できるのか
・専門学校が悪いのではないか
・中卒の自分にはやはり無理な挑戦だったのか
などなどネガティブな考えばかりで当時はかなり病んでいました。
そんな時に勇気をくれたのが税理士試験合格者の「合格体験記」です。
なかには10年以上受験し続けやっとの思いで合格を勝ち取った人もいます。
合格者の合格体験記は読んでおいて損はないです。
合格者たちが税理士として独立してのびのびと生きているのを見て
「やっぱり自分も税理士になりたい」と再び自分を奮い立たせました。
また初年度に財務諸表論に合格していたことも勇気をくれました。
「これまでの数年間の勉強を無駄にするわけにはいかない」
そう自分に言い聞かせました。
このタイミングでさらに勉強時間を確保するために、会社の近くに引っ越しもしました。
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TACの答練は上位30%ぐらいをウロウロ、公開模試はA判定でした。
3年目からは講座は直前期のみ。
筆者は講義込みで申込みましたが資料のみでもいいと思います。
本試験では第二問で転換社債型新株予約権と減損会計が出題されました。
減損会計はのれんを含むタイプの若干難しい問題です。
ここでまた取捨選択を間違えてしまいます。
減損会計を熱くなって最終値まで解き切った結果
新株予約権に全く手を付けずに終わってしまったのです。
「みんなができるところ」ではなく、「自分ができるところ」から先に手を付けてしまったのです。
またもや「簿記論の罠」にはまってしまいました。
本試験直後の感触は悪く無く、自己採点もギリギリボーダーぐらいでした。
しかしやはり正答率の高い新株予約権の基本問題を落としたため
減損会計が合っていても12月の結果はまたもや不合格でした。
一生簿記論に合格できないのではないかと絶望しました。
消費税法 2年目

消費税法も2年目になると理論の覚え方も確立されて
暗記題数もABランクのみ30題程度は暗記して本試験に臨みました。
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計算は課税方式別のパターンもしっかり覚えたらあとはひたすら取引分類と納税義務判定を勉強していました。
それでも普段の答練では良くて上位40%程度でした。
しかし不安なまま受けた公開模試ではなぜかSランク。
あまりにもびっくりして滅多にしなかった質問電話をしてしまいましたw
当時はまだ公開模試だけは解答解説が後日郵送されていたのですが。
普段の答練で通信生はベタ書きを書き写したり制限時間を守らずに解答している受験生が相当数いたようです。
公開模試ではそれができないため本来の順位が出たのです。
現在では新型コロナウィルスの影響か解答解説も一緒に郵送されますね。
自宅受験者の成績を見れば明らかに不正の匂いがします。
もはや公開模試の順位もあまり当てにならないかもしれません。
筆者はずっと自宅受験ですが会場受験者の得点分布でだいたいの進捗を把握しています。
答練の成績は気にするけど気にし過ぎないほうがいいです。
本試験では納税義務の横断的な理論が出題されました。
TACのN宮先生が授業でかなり重点的にやっていたのでバッチリ解答できました。
事例理論についても輸出物品販売所のみ白紙で
あとはそれなりに結論を合わせつつ解答できました。
計算は簡易と本則の2題形式でしたが
ポイント
・簡易課税は最終値合わず
・本則は個別・一括の算式の途中まで解答
これで合格でした、自己採点はちょうどボーダーでした。
計算はそこそこでしたが納税義務の横断的理論をばっちり書けたのが大きかったです。
ありがとうN宮先生!
理論の記述のポイント
・ベタ書きは基本理論マスターどおりに
・残り時間によっては重要でないカッコ書きは省略
・事例理論は結論合わせてなるべく簡潔に
・模範解答どおりに書くと絶対に時間足りない
専門学校の定期テストでわざと省略してどれくらい減点されるかを試すのもいいと思います。
理論と計算バランスよく解答してください。
消費税法の計算はとにかく納税義務と取引分類が重要です。
ポイント
本試験で白紙があると受からないは嘘!答練の成績は参考程度に!
令和元年 簿記論

簿記論4年目(恥
何としても合格するため追加の税法科目は無し。
4年目も講座の申し込みは直前期のみです。
答練の成績は上位30%をウロウロ、公開模試はA判定。
「基礎のAランクだけ取りきれば受かる」
そう確信していたのでトレーニングの応用・研究は一切やりませんでした。
ひたすらテキストの例題・トレーニングの基礎・答練の繰り返し。
本試験では分配可能額・連結会計が出題されました。
分配可能額は完全にスルーし、連結会計は一番最後に解きました。
日商簿記1級合格者にとって簿記論の連結会計は簡単です。
しかし「他の受験生ができるか?」で考えると、優先度は低いと思ったので後回しにしました。
自己採点はまたもやギリギリボーダーラインに載るくらいでしたが
この年は「基本問題は全部取り切った」感覚がありました。
12月の結果は合格でした。
税法の合格より簿記論の合格が一番嬉しかったですw
長かった簿記論との戦いがようやく終わりました。
ポイント
簿記論はとにかくAランク!何点取れたかより得点箇所の正答率が重要!
令和2年 法人税法

この年はついに最難関と言われる法人税法の初学者コースに申し込みました。
噂どおりとんでもないボリュームです。
理論の題数は約120題、消費税法の3倍近くあります。
計算もパターンが別表1・4・5さらに決算修正型や留保金など多彩です。
年明けの確定申告シーズンが始まる頃には完全について行けなくなってしまいました。
同じ時期には新型コロナウィルスが話題になり始めます。
当時の思考
・この成績で県外移動してまで受験しに行くべきか?
・そもそも本試験は開催されるのか?
そんなことを考えていたらモチベが保てなくなり春前には今年の受験は見送る決定をします。
その後は一切勉強せずに遊びまくっていましたw
余談ですがこの年の本試験はめちゃ簡単で合格率も高かったようです(汗
ポイント
法人税法のボリュームはハンパ無い!年内にどれだけ基本を固められるかが重要!
令和3年 法人税法

新型コロナの影響はまだ続いていましたが
「今年は絶対に受験する」という思いで再び初学者コースを申し込みます。
またこの年からiPadを勉強に取り入れていきました。
これから勉強をはじめる方には是非iPadを使ってみてほしいです。
年内は前年までの蓄積があったので比較的スムーズに勉強ができました。
しかし年明けからは仕事の繁忙期もあり成績はどんどん落ちていきます。
初めて迎える直前期は答練の出題理論が1回の答練につき8題以上と殺人的なボリュームでした。
理論の覚え直しで計算の復習まで手がまわりません。
結局成績上位者には一度も入れませんでした、公開模試はA判定。
勉強時間は測っていませんが800時間といったところでしょうか。

本試験では22条関係が出題されました。
22条の2ベタ書きで「契約の効力が生ずる日」という重要ワードを漏らしてしまいます。
機械装置の事例理論も結論を間違えてしまい、手応えはありませんでした。
自己採点では甘めでギリギリボーダーラインあたりで
「もしかしたら受かっているかも?」と期待しましたが12月の結果は惨敗でした。
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合格者の報告によると機械装置の事例理論に大きな配点があったようです。
計算の解散の問題は白紙でも合格者が出ていました。
未学習論点は完全に捨ててしまっても受かるようです。
令和4年 法人税法

不合格の結果を受けて年明けから経験者コースを受講。
経験者コース受講生はめちゃくちゃレベルが高かった。
80点以上取っても成績上位には入りません。

経験者コースをしっかりやっておけば
直前期で新しい論点はほとんど無いのでかなり楽になります。
直前期には成績上位にもちらほら入ることができました。
計算はそこそこで理論を重点的に回していました、公開模試はA判定。
年明けからの勉強時間は500時間ぐらいでしょうか。


本試験直前にはABランクを中心に90題程度は
2、3日で回せる暗記レベルになっていました。
本試験はとにかくボリュームが多く、とても2時間で解き終わる問題ではありませんでした。
計算も事業年度1年未満の問題で「初学者でここまで抑えられてる受験生は少ないのでは?」と試験後は感じました。
自己採点ではボーダーラインに届きませんでした。
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しかし理論で大きくはずしていないと感じたため、密かに期待していましたが結果は不合格でした。
この年は完全に取捨選択を間違えました。
法人税法の合格には理論暗記と基本論点の計算、それに簿記論のような取捨選択が求められるようです。
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法人税法は税務仕訳が切れるかが大事です。
理論の柱も税務仕訳から引っ張ってくれば組織再編も覚えられます。
とにかくボリュームが多いので重要な論点から抑える方が良いです。
全範囲を完璧にしている受験生はいないでしょう。
間に合わない場合には直近に出題された論点を切り捨てる勇気も必要です。
ポイント
法人税法は税務仕訳が切れるかが重要!全範囲完璧な受講生は絶対にいない!
Aランクを落としてるようでは合格は難しい!
令和5年 法人税法
年内はTACで相続税法の基礎マスター+上級コースを受講。
法人税法不合格の結果を受けて年明けから法人税法上級コースに切り替え←いまここ
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残り2科目となったので短期間だけ受験専念するのもありかなと思い
転職エージェント数社に登録してみました。
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その後いろいろ考えましたが仕事を辞めて受験専念することにしました。
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税理士試験挑戦記まとめ

だいぶ長文になってしましましたが筆者の受験歴についてまとめました。
これから税理士試験に挑戦する方や諦めかけてる方は、凡人の受験歴をみてやる気を出してもらえたら嬉しいです。