税理士試験の登竜門、簿記論。
筆者は大っ嫌いです、なにせ4回目でやっと合格しましたから。
他の日商簿記1級合格者達は一発合格して行く中、なぜ4回も受験することになったのか。
それは簿記論が簡単な問題さえ全部正答すれば受かる科目だということを知らなかったからです。
たしかに簿記論は範囲も簿記2級に比べると広範囲ですし、内容も比べ物にならないくらい難しいです。
ただ「合格すること」に焦点を合わせたら、そんなに難しくはないのでは?という話です。

簿記論の勉強してるけど心が折れそう・・・
過去問が難しすぎて受かる気がしない・・・

こんな思いで悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。
この記事でわかること
- 簿記論合格のために重要なこと
- 勉強内容の難しさと合格戦略
- 合格のための具体的な解答手順
- 効果的な勉強方法
- 成績優秀者がおちいる罠
簿記論は取捨選択が最重要

簡単な問題から手をつける
簿記論は税理士試験科目の中でも手を付ける問題とやってはいけない問題の取捨選択が重要です。
基本的に簿記論の試験問題は2時間で解き終わりません。
簿記論は合格レベルの方でも解答の順番を間違えると「やらかしてしまう」可能性が高いです。
これが筆者のように簿記論でハマってしまう受験生の典型です。
難しい問題はやらなくてOK
簿記論の合格のためには、難しい問題に手を付ける必要はありません。
回によっては簿記2級レベルにプラスアルファの知識で受かる回もあるぐらいです。
なのでとにかく基本問題、「みんなが解ける問題」の精度を上げてください。
そう考えると広い試験範囲の中でも重要じゃない論点が見えてくるはずです。
なんとなく楽になりませんか?
過去問では頻出論点を優先する
あなたが今、解けなくて悩んでいる問題は本試験でも「やらなくて良い問題」かもしれませんよ。
そう言った論点は後回し、最悪間に合わないようならやらなくてもいいです。
過去問で毎回出題されるような頻出論点をまずは優先して極めてください。
ポイント
簿記論は税理士試験の中でも取捨選択・解答手順が重要な科目!
簿記論が難しいと感じる理由

簿記論の受験生レベルは高くない
簿記論は合格率約15%の難関で、税理士試験の受験生の多くが最初に受ける科目です。
したがって税法科目にくらべて

ちょっと受けてみようかな
ぐらいの軽い気持ちで受験している、いわゆる「記念受験者」の数が最も多い科目です。
なので専門学校の答練で上位30%程度の方であれば、総受験者の上位15%に入ることは可能です。
全ての論点を完璧にする必要はない
TACや大原の教材は出てしまったときに
テキストに載ってない問題が出たから落ちた!

と言われないようにかなり網羅的になっています。
これが簿記論の勉強が難しいと感じる理由です。
しつこいですが、簿記論の本試験は簡単なところを取れれば受かります。
勉強内容が難しくても、合格するのは戦略さえあれば難しくありません。
過去問演習のポイント
- 半分しか解答できなくても基本問題が取れていればOK
- 基本問題で6割正答できればバッチリ
ぐらいに考えて大丈夫ですよ、そう考えると楽になりませんか?
ちなみに勉強時間は簿記2級レベルからだと500時間では足りません、700から1,000時間は見ておくべきです。
具体的な過去問の解答手順

優先すべきはAランク
基本的には日商簿記1級と同じでA→Bランクの順番で解答することで点数が安定してきます。
Aランクの見極めが重要
- Aランクはテキストの例題レベルの誰でもできる簡単な問題
- Bランクは時間えおかければ解ける問題
実力がある人ほどBランクが解けるのでそこで時間を使ってしまい、
本当に解くべきAランクに手を付けないで終わってしまうことがあります。
これは絶対にやってはいけません、これが成績優秀者がおちいる簿記論の罠です。
解答する順番は「Aランクを全て終えてからBランク」を徹底しましょう。
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素読みの重要性
また簿記論は「点数をかき集める」イメージで解きましょう。
各設問ごとに最後まで解き切る必要はありません。
ある程度で先に進む勇気が必要です。
問題の素読みも他の科目より重要です。
多少の解答時間をつかっても問題のランク分けは行ってください。
芋づる式の問題に注意
問題によりますがたとえば
複数年の処理を問う問題
- (1)が1年目の処理
- (2)が2年目の処理
こういった(1)が正解していないと(2)も絶対に合わないような「芋づる式」の問題があります。
このタイプの問題は(1)の解答に自信がない場合は(2)は飛ばして次の問題を先にやるべきです。
正答できる可能性が低いのに時間を使うのはもったいないです。
第3問総合問題の解き方
第3問の総合問題でも集計が多いところよりは、問題後半の集計がない論点で確実に基礎点を確保しましょう。
「現金預金」「消費税」などはパッと見て集計が多ければ飛ばします。
転記のみで取れる問題は素読みの段階で処理します、絶対に落としてはいけません。
ポイント
簿記論は素読みが重要!ABランクを瞬時に判断できる判断力を鍛えよう!
簿記論の勉強方法

基本問題を徹底する
基本的にテキストの例題とトレーニングの基礎レベルだけで大丈夫です。
実際筆者は合格した4回目の受験のときはそれしかしてません。
4年目のTACの答練はだいたい上位20〜30%の間くらいの成績、全国模試はA判定。
この勉強方法では専門学校の答練の成績は伸びないかもしれません。
答練の順位は気にしない
簿記論の本試験は合格レベルに達していない記念受験者の数が多いので、答練の成績は気にしなくてOKです。
Aランクがしっかり取れていれば上位30%程度には入るのでそれで充分です。
基本問題を薄く広く
簿記論はある程度の実力がある方なら本試験で答案用紙に反映させる「発揮力」さえあれば合格できます。
応用レベルは時間のある方のみ、研究レベルはやらなくても大丈夫です。
あまり細かい論点を気にするより全範囲の基礎問題を押さえるべきでしょう。
あとは過去問や答練でアウトプット練習を積んでください。
点数よりも内容にこだわれ
点数が何点かよりも点数の内容にこだわってください。
過去問演習のチェックポイント
- Aランクは全て取り切れているか?
- 間違えた問題より先に解くべき問題はなかったか?
- 転記だけで取れた問題を読み飛ばしてないか?
これらを解き終わったら必ずチェックしましょう。
本試験で迷っている時間はない
「わからない問題が気になるなら試験後に家に帰ってからやってください」
これは簿記論の講師がよく言っていた言葉です。
わからない問題は3秒で切り捨てましょう。
難問に手を付けていては本試験でも手が止まってしまいます。
過去問や答練の時でもこのことは意識してほしいです。
答練の設定時間を短くしてAランクを取る練習も効果的です。
ポイント
簿記論はとにかくAランク!得点の内容に徹底的にこだわれ!
苦手論点の勉強方法

苦手論点は作らない
簿記論は範囲も広いですから苦手論点も出てくるはずです。
とくに本支店会計など比較的大きな構造論点は苦手にしていてはいけません。
苦手論点はその論点についてまとめて解くのがオススメです。
苦手論点は横断的に演習
- テキストの例題
- トレーニングの基本問題
- 答練や過去問のつまみ食い
苦手論点を克服するために答練ごとに何の論点が出題されていたかメモしておきましょう。
TACなら復習しやすいように解説に論点表があるはずです。
できるまで繰り返す
テキストの簡単な例題から段々と難易度を上げていきます。
答練は苦手論点のみをつまみ食いで解きましょう。
問題ごとに日付と出来をメモし、出来なかった問題は間隔を空けずに早めに解き直しします。
何度も繰り返すうちに必ずできるようになります、頑張りましょう。
ポイント
苦手論点克服はまとめ解きが有効!答練出題論点はメモしておく!
3年目からは専門学校を変えるのもあり

答練の傾向は毎年同じ
もし筆者のように不運にも2回不合格になった方には、3年目からは専門学校を変えることをオススメします。
通っている専門学校が悪いということではありません。
ただ3年も同じ学校に通うと答練などの傾向がだいたいわかっているので新鮮味に欠けます。
初見問題への対応を鍛える
答練は基本的に過去の答練や過去問を少しいじったくらいの問題が多いので。
簿記論に限らずですが「初見の問題での発揮力」は超重要です。
なので答練だけでも他校のものを受けるのは3年目ならありです。
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会計科目はさっさと終わらせましょう

簿記論は「やらかしさえしなければ」「基本問題を全て取り切れば」合格できる科目です。
3年目からはほとんど知ってる論点なので勉強自体飽きてきます。
改正も無いですし簿記論は出来る限り2年以内に受かりましょう。
皆さんが筆者のように4年も受験しないことを願っています。
会計科目が終わったらいよいよ税法科目に挑戦です。
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