私のように税理士試験の受験資格がない場合は日商簿記1級に合格する必要があります。
しかし専門学校の1級講座は10万円程度かかります。
当時の私はその10万円を捻出することができなかった…
「日商簿記1級は本当に独学で合格できるのだろうか?」
「専門学校の生徒達には勝てないのではないだろうか?」
そんなことを考える毎日でした。
おそらく日商簿記1級を目指すということは転職若しくは税理士試験の受験資格のためでしょう。
そんな方のために私が当時意識していたことを書いてみます。
この記事でこんなことがわかります。
- 独学で日商簿記1級に合格するための勉強法
- 相対試験の戦い方
相対試験は基本が大事

日商簿記1級、難しいです。
試験範囲は日商簿記2級の4倍、テキストは当時8冊でした。
さらに日商簿記1級からは相対試験となり、これまでの日商簿記2級とは違った戦い方が必要です。
相対試験とは上位10%が受かるように調整されている試験ということです。
これは税理士試験と同じです。
一応の合格点と言われている70点以上を自己採点で取っていたとしても上位10%でなければ落ちます。
この仕組みを知らない人は一生合格できないでしょう。

このように上位10%が合格となるように調整されているため上位10%に入るための作戦が必要です。
そしてその作戦で最も重要なことは「基本が大事」これです。
今回は私が独学で合格した方法を紹介します。
難しい問題はできなくても良い
どうやったら上位10%に入れるのか。
そのためにはもう1つの重要な要素「傾斜配点」について理解する必要があります。
たとえばここにA・B・Cという3問があるとします。
- Aは簡単な問題
- Bは少し難しいけど時間をかければ解ける問題
- Cは難しい若しくはテキストに載っていない見たこともない問題
こういった場合に配点はA・B・Cそれぞれ均等に1点ずつではありません。
実際は
- Aが3点
- Bが1点
- Cは配点無し
場合によりますがこのような配点になります。
つまり時間のかかる問題や難しい問題は時間がかかる割に配点が低くコスパが悪いということです。
AランクとBランクの問題を全て正答できれば確実に受かります。
逆にAランクに手を付けずにBランクとCランクを全て正答しても絶対に受かりません。
なのでABランクを正答する勉強方法が有効です。
テキストの例題レベルの問題を回す
上記のことから基本的な問題の取りこぼしは致命傷となります。
日商簿記1級はその試験範囲の広さから全ての範囲を勉強し終えていないまま受験している受験生も多いです。
試験問題にヤマをはるのはオススメできません。
「知っていさえすれば解ける」レベルのAランク問題を解けないのは致命的です。
したがってまずはテキストの例題を全て解けるようにしましょう。
押さえるのは頻出論点から順番でOKです。
わからない問題は何回も回すうちに解けるようになるのであまりこだわらずにとりあえず回しましょう。
これでAランク問題はだいたい対応できますしヤマをはっている受験生に勝てます。
私はTAC出版の「スッキリわかる」シリーズを使って勉強してました。
つぎにトレーニングの基本レベルの問題を解きます。
「応用」や「研究」レベルの問題は不要です、時間が足りません。
テキストの例題とトレーニングの基本問題を3周ぐらいしてだいたい解けるようになったら次は過去問です。
直近10年分ぐらいを用意してわかる所だけ解いてみてください。
私はこれを使ってました。
案外解けるところが多いことに気づくはずです。
それがAランク問題です。
間違えた箇所や飛ばした箇所の中に、過去問の解説を読んで理解できる所やもう少しで理解できそうな所があると思います。
それがBランクです。
だいたい頻出論点の基礎問題を少しひねった程度でしょう。
そういった頻出論点はトレーニングに戻って「応用」ぐらいまでカバーしましょう。
解説を読んで何を言ってるかわからない箇所や何回解き直ししてもわからない箇所はCランクです。
やらなくていいです。
上記の方法でテキスト・トレーニング・過去問を3〜5周ぐらいすると最初理解できなかったところも理解できるようになります。
ですが常にA・B・Cのランクは意識しながら解いてください。
また何日も続けて同じ問題を解くより数日空けて解きましょう。
解答を憶えてしまうやり方では少しひねられた時に応用が効きません。
そして各専門学校が出している過去問の予想合格ラインにABランクだけで届くことに気づくはずです。
試験問題は商会工原で1つの作品である
過去問を解きながら意識して欲しいのは「1級の試験問題は商会工原で1つの作品である」ということ。
毎回商会工原のうち1つには難問奇問・未出題論点が必ず出題されます。
これらの未出題論点は出題された場合ほとんどの受験生が解けません。
ここで未出題論点を笑って飛ばせるメンタルが合格には必要です。
難問奇問は解かなくても受かります。
難問奇問は全力でスルーしてその時間をA・Bランクの問題に充てましょう。
参考に私が受験した138回の会計学では連結包括利益計算書が出題されました。
私は当時その問題に20分以上かけて結局時間切れで商業簿記や会計学のABランクの問題全てに手を付けず終いでした。
自己採点で会計学は1桁台、足切り不合格だと思いました。
しかし実際は12点でした、みんなができる簡単な所は配点が高いことを知りました。
しかし時間配分をミスったせいで結果は不合格。
連結包括利益計算書に手を付けず他の所を先に解くべきだった。
実力を答案に反映できなかったことに後悔しました。
2回目の受験は140回でした、この回は工業簿記が超難問でした。
問題を見た瞬間凍りつきました。
「また半年間勉強しなきゃいかんのか、一体いつになったら受かるんだ」
そんなネガティブ思考の中、わからない箇所はとりあえずは飛ばして自分にできる箇所だけ一生懸命解いて試験は終わりました。

これが140回工業簿記の模範解答です。
この中で私が正答したのは
- 問1か問2のどちらか(記憶が曖昧)
- 問3の製造原価報告書の簡単な箇所1箇所(記憶が曖昧)
- 問4
これだけです。
TACの予想配点で工業簿記はたしか4点でした、足切り確定です。
しかし実際の配点は工業簿記12〜14点(記憶が曖昧)で合格していました。
たった3箇所、しかも簡単な所しか解けなかったのに自己採点より8点以上アップです。
TACや大原の過去問集の予想配点は均等に配点が振られていますが実際は違うんです。
私は「会計士スレ」という2ちゃんねる的なところで過去の合格した人の正答した箇所と過去問集の配点の違いを研究したりしてました。
興味あるかたは見てみてください。
難問奇問の場合かなり傾斜がかかります。
解答するのは簡単な箇所だけでいいんです。
実力を答案に100%反映させる「発揮力」

実力があるのに受からない人の多くは解く順番が間違ってる可能性があります。
実力があるが故にBランク問題もかなり解ける状態です。
ここに落とし穴があります。
上述のようにBランク問題は大きな配点はないはずです。
Bランクを解いているうちに時間が足りなくなってAランクに手を付けずに時間切れになったり。
焦ってAランク問題を落としたりしていませんか?
解答するのはAランク→Bランクを徹底してください。
Aランクを全て解答してからBランクを解くんです。
解けるBランクがあってもAランクを解き終わるまで手を付けてはいけません。
これを徹底すれば時間切れで実力が反映できかったということは無くなるはずです。
実力を100%反映しても合格できないならそれは単純に実力不足だということです。
必ず基礎論点に穴があるはずです。
基本問題を時間内に取り切る実力があって、それを答案用紙に100%反映できる発揮力があれば受かります。
最後に
日商簿記1級は税理士を目指す上で必須ではありませんし確かに回り道かもしれません。
だけど私自身、この資格で転職できましたし人生を変える破壊力がある資格だと実感しています。
日商簿記1級を目指してる方は経理職や会計業界に転職したいだとか税理士試験の受験資格のためとか「訳あり」な方が多いでしょう。
私も数年前まで「訳あり」の人間でした。
だけど日商簿記1級に合格して転職して今は中卒でもはたから見たら「それなり」の人間です。(たぶん)
私は「訳あり」の皆さんを心から応援しています。
人間やればできます、やってダメならもっとやりましょう。
終わり