簿記2級に合格したあと、多くの人が次のステップとして悩むのが「簿記1級に挑戦するか、それとも税理士試験に進むか」という選択です。
簿記1級は就職やキャリアアップに直結し、税理士試験は長期的に独立・専門職としてのキャリアを築ける道。
どちらを選ぶかによって、必要な勉強時間や費用、将来のキャリアは大きく変わってきます。
本記事では、難易度・合格率・勉強時間・就職での評価といった観点から両資格を徹底比較。
簿記2級合格者が「自分に合った選択」を見つけられるように解説していきます。
簿記1級と税理士試験の選択の重要性

税理士と簿記1級の関係性を理解する
簿記1級は税理士試験の受験資格となるため、税理士を目指す場合のステップとしても位置づけられています。
ただし、大学卒業など他の資格条件があれば簿記1級を飛ばして税理士試験を受けることも可能です。

どちらを選ぶべきか、決断のポイント
一般的な知名度では簿記1級が圧倒的に有利。
税理士試験の科目合格は、会計事務所への転職では有利になりますが、一般企業での認知は簿記1級と比較すると低めです。
簿記1級は年2回、受験の機会があります。
対して、税理士試験は年1回。
難易度はどちらも難関ですが、合格チャンスを考えると簿記1級のほうが短期的に成果が出やすいと言えます。
簿記2級合格者専用の視点
2級の延長で知識を深めたい人は簿記1級、キャリアの幅を広げたい人は税理士試験に進むのがおすすめです。

どちらを選ぶにしても、難しさは2級と比べ物になりません。
覚悟をもって勉強しないと受かりません。
簿記1級のメリットとデメリット

簿記1級の資格取得のメリット
- 経理職や大企業での就職・転職に有利
- 実務で即役立つ知識が得られる
- 税理士試験の受験資格を得られる

筆者も簿記1級に合格して受験資格を手に入れ、税理士試験に挑戦しています。
合格率と勉強時間の実態
簿記1級の合格率は10%前後。必要な勉強時間は800〜1,000時間とされています。
働きながらだと、半年から1年かけて取得するのが一般的。

筆者は働きながら1年間、2回目の受験で合格できました。
勉強時間は約1,000時間です。
簿記1級によるキャリアアップの影響
経理・会計職を中心に、簿記1級取得者は採用で有利に働きます。
税理士試験へのステップとしても有効です。

税理士試験の概要と魅力

税理士試験の受験資格と科目について
税理士試験は会計科目(簿記論・財務諸表論)と税法科目(法人税法・所得税法など)から成り立ちます。
受験資格は大学卒業、または簿記1級合格などです。
税理士の年収と就職先の実態
税理士試験に合格すれば「勤務税理士として安定」「開業税理士として独立」と選択肢が広がります。
どの形態でも高収入が狙えます。

独立開業した税理士の場合、平均年収は1,000万円を超えることも。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、税理士(公認会計士を含む)の平均年収は約700万円前後とされています
厚生労働省:職業情報サイト
一方で、職業紹介サイトや求人データによれば、会計事務所や税理士法人に勤務する税理士の平均年収は約500〜700万円前後にとどまるケースが多く、都市部(東京など)では600万円超となることが一般的です。
会計人材エージェント
税理士試験に求められる知識と学習法
理論暗記が必須であり、1科目ごとに1,000時間以上の学習が必要。
簿記1級と比較すると、長期的な計画が前提です。
国税庁が公表する統計では、税理士試験合格者の多くは20代後半〜30代に集中しています。
国税庁 税理士試験統計
ただし「合格までに平均何年かかるか」という公式データは存在せず、資格学校や受験生アンケートによると「3〜7年程度が一般的で、平均すると8〜10年近くかかる」とされるケースが多いのが実情です。
簿記1級と税理士試験の比較

項目 | 簿記1級 | 税理士試験 |
---|---|---|
試験実施団体 | 日本商工会議所 | 国税庁(国家試験) |
受験資格 | 制限なし | 大卒・簿記1級合格など |
合格率 | 約10% | 科目ごと10〜15% |
学習時間 | 800〜1,000時間 | 総計5,000時間以上 |
学習範囲 | 商業簿記・工業簿記・会計学・原価計算 | 簿記論・財務諸表論・税法科目 |
費用 | 6〜15万円 | 科目ごと20万円前後(総額100万円超) |
キャリア | 経理職・会計事務所就職に有利 | 税理士法人・独立開業・高収入 |
出題範囲の違い:簿記論と財務諸表論
簿記論・財務諸表論は簿記1級の延長線上にありますが、税理士試験ではより高度な理論や応用力が求められます。

税法科目の必要性と試験内容
税法科目(法人税法、所得税法など)は暗記要素が強く、時間をかけた学習が必須です。
税理士試験の難しさは「税法科目の理論暗記」の影響が大きいです。

会計科目はスムーズに合格できても、税法科目に合格できない受験生はたくさんいます。
難易度の違いと合格のための工夫
簿記1級は短期集中で挑めますが、税理士試験は長期的な継続力が求められます。

税理士試験は5年で突破できれば早いほうです。
勉強法と効率的な学習のポイント

簿記1級に向けた効率的な勉強法
過去問演習を繰り返し、基本論点を漏れなく網羅するのがポイントです。
表向きは70点以上で合格ですが、実態は上位10%が合格する相対試験。
基本論点を落としていては合格できません。

簿記1級の勉強方法の記事も参考にしてください。
税理士試験対策のためのノウハウ
理論暗記は「柱挙げ」「音読」などを組み合わせ、答練を軸に進めます。
「理論暗記を制するものは税理士試験を制する」と言われるほど大事な要素。
早期合格のためには理論暗記の攻略が必須です。
独学とスクール、どちらが良いか?
簿記1級・税理士試験、どちらも相対試験です。
上位10%に入らないと合格できません。
スクールを利用して効率的に勉強しましょう。
実体験から見る選択の理由

簿記1級を選んだ理由と体験談
筆者は10年前、独学で簿記1級に合格しました。
税理士試験ではなく、簿記1級を選んだ理由は2つ。

税理士試験を選んだ受験者の声
10年間、税理士試験の受験生としてXで業界を見てきました。
毎年9月には簿記2級合格から税理士試験の簿財、税法科目に挑戦する受験生は多数います。
それでも翌年8月の本試験にたどり着くのは一握り。
半分以上は途中で挫折して、Xから消えていきます。

「絶対に税理士になるんだ!」という強い思いが無いと挫折します。
両方の試験を経験した筆者の意見
簿記2級から簿記1級、税理士試験どちらの道を選択するかは人それぞれ。
10年前の筆者は「簿記1級ぐらい受からないなら、税理士試験なんて無理」と思ってました。
簿記1級のほうが簡単だという意味ではありません。
ただ、間違っても簿記2級までの感覚で選択しないようにしましょう。
1年、あるいはもっと長い時間を無駄にすることになります。
それでもやると決めたなら、筆者なら以下のように選びます。
FAQ:簿記1級と税理士試験のよくある質問

Q1. 簿記1級を取らずに税理士試験を受けても大丈夫?
A1. 大学卒業など他の受験資格があれば可能です。ただし簿記1級の知識は税理士試験の簿記論・財務諸表論に直結するため、基礎固めには有効。
Q2. 就職に有利なのは簿記1級と税理士試験どっち?
A2. 経理職や企業就職なら簿記1級、会計事務所や税理士法人なら税理士試験の税法科目が評価されやすいです。
Q3. 勉強時間はどれくらい違いますか?
A3. 簿記1級は800〜1,000時間、税理士試験は1科目1,000〜1,500時間で総計5,000時間以上かかります。
Q4. どっちから勉強する人が多い?
A4. 社会人は簿記1級を経て税理士試験に進むケースが多いです。学生は直接税理士試験から始める人もいます。
まとめ:簿記1級と税理士試験、どちらを選ぶべきか?

簿記1級と税理士試験は、どちらも会計・税務分野でキャリアを築くうえで有力な資格です。
ただし目的によって最適な選択肢は異なります。
- 経理職・一般企業のキャリアアップを目指す人 → 簿記1級
- 会計事務所や税理士として独立を目指す人 → 税理士試験
- 筆者と同じように簿記1級→税理士試験もアリ
どちらが自分のキャリアに直結するかを考えてから選びましょう。
資格選びはゴールではなく、キャリアを築くための最初の一歩。

迷う時間を短縮して、早めに学習をスタートすることで合格への近道になります。
効率的に学習するならスクールは必須、おすすめのスクールは以下の記事にまとめてあります。