筆者のように税理士試験の受験資格がない場合は、日商簿記1級に合格する必要があります。(令和4年受験資格暖和改正前)
しかし専門学校の1級講座は10万円以上。
ブラック企業時代はそんなお金ありませんでした。
- 本当に自分は合格できるのだろうか?
- 専門学校の受講生に独学では勝てないのではないか?
そんなことを考える毎日でした。
時代は変わり、今では独学と変わらない価格で専門学校の講義を受けれます。
筆者のように無駄に悩む必要はありません。
本気で合格したいなら独学は今すぐやめて、専門学校を利用しましょう。
日商簿記1級を目指すということは転職か税理士試験の受験資格のためでしょう。
そんな方のために筆者が当時意識していたことを書いてみます。
この記事でわかること
- 簿記2級と1級の違い
- 合格のための勉強方法
- 本試験合格のためのメンタル
- 実際の傾斜配点
- 初見問題で5点UPを狙う解き方
簿記2級と簿記1級の違い
簿記1級は相対試験
簿記1級、難しいです。
試験範囲は日商簿記2級の4倍、テキストは当時8冊でした。
簿記1級からは相対試験となり、これまでの簿記2級とは違った戦い方が必要です。
これは税理士試験と同じです。
恐怖の足切り制度
商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目のうち、1科目でも10点未満の科目があるとその時点で不合格となる足切り制度があるのも1級の特徴です。
一応の合格点と言われている70点以上を自己採点で取っていたとしても上位10%でなければ落ちます。
この仕組みを知らない人は一生合格できません。
上位10%に入るためには
上位10%が合格となるように調整されているため、作戦が必要です。
上位10%に入るために最も重要なことは「基本が大事」、これです。
簿記1級は傾斜配点
傾斜配点を理解する
どうやったら上位10%に入れるのか。
そのためにはもう1つの重要な要素「傾斜配点」について理解する必要があります。
傾斜配点とは
例えばここにA・B・Cという3つの問題があるとします。
この場合の配点はA・B・Cそれぞれ均等に1点ずつではありません。
市販の過去問集では均等に配点が振られていますが、実際はこのような配点になります。
難問はできなくてOK
つまり難しい問題は配点がないため、本試験では解かなくてOKということです。
AランクとBランクを全て正答できれば確実に受かります。
逆にAランクに手を付けずに、BランクとCランクを全て正答しても絶対に受かりません。
まずはA、Bランクを解けるように基礎を固めよう。
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簿記1級の勉強方法
基本問題を網羅的に
上記のことから基本的な問題の取りこぼしは致命傷となります。
簿記1級はその試験範囲の広さから、全ての範囲を勉強し終えていないまま受験している受験生も多いです。
ヤマをはる勉強はオススメしません。
「知ってれば解ける」レベルのAランク問題を解けないのは致命的です。
まずはテキストの例題を全て解けるようになろう。
何度も繰り返す
押さえるのは頻出論点から順番でOKです。
わからない問題は何度も繰り返すうちに必ず解けるようになります。
苦手論点で止まらずに、とりあえず全論点を回しましょう。
回していると突然、各論点が繋がり始めます。
テキストの全例題だけでAランク問題は対応できますし、ヤマをはっている受験生に勝てます。
過去問で本試験のレベルを知る
テキストの例題を3周ぐらいしてだいたい解けるようになったら次は過去問です。
直近10年分ぐらいを用意してわかる所だけ解いてみましょう。
案外解けるところが多いことに気付くはずです。
過去問は割引価格で買えるサイバーブックストアで買うのがおすすめ。
解答用紙もダウンロードできるので、繰り返し学習がはかどります。
過去問の使い方
過去問が解けないのは普通
過去問1周目は30点、40点は当たり前です。
そんなに甘い試験ではありません。
過去問は受験者の90%を落とす問題です、テキストの例題とは違います。
出来の悪さに落ち込む必要ないですよ。
過去問は解くな読め
解説を読んで「そういうことかー」とか「あー、ここできたのに」という箇所があるはずです。
解答に必要な知識はテキストの例題レベルですが、過去問は問題文が素直ではありません。
1周目は過去問の問題文に慣れる作業だと思いましょう。
正答率を意識する
簿記1級は相対試験で傾斜配点があります。
過去問で100点を取る必要はありません。
2周目からは「他の受験生も解ける問題か?」を意識します。
皆が解ける問題は配点が高いからです。
過去問はどこまでやるか
ABランクの問題ができれば本試験は受かります。
復習はABランクのみ、CランクはやらなくてOK。
過去問集の配点で60から70点取れれば充分合格レベルです。
各専門学校が出している予想合格ラインにABランクを取り切って届いたら、その問題は卒業します。
過去問演習で大切なこと
過去問は「何点取れたか」だけではなく、「どこを正答したか」にこだわってください。
この3点は過去問演習では必ず確認しましょう。
- Aランクは全て正答できているか?
- Bランクに時間をかけすぎてAランクで手付かずの問題はないか?
- やらなくていいCランクに手を付けていないか?
過去問の復習ペース
何日も続けて同じ問題を解くより、1週間くらい空けて解きましょう。
解答を憶えてしまうやり方では少しひねられた時に応用が効きません。
暗記じゃなく本質的な理解を目指そう。
本試験に合格するためのメンタル
未出題論点は無視してOK
過去問を解きながら意識して欲しいのは、「1級の試験問題は商会工原で1つの作品である」ということ。
毎回商・会・工・原のうち1つは難問奇問・未出題論点が出題されます。
未出題論点が出題された場合、ほとんどの受験生が解けません。
誰も解けない=配点が低いってことです。
難問奇問は回避すべし
合格には未出題論点を笑って飛ばせるメンタルが必要です。
難問奇問は解かなくても受かります。
未出題論点が出題されてもパニックになってはいけません。
難問奇問は全力でスルーして、浮いた時間をA・Bランクの問題に充てましょう。
筆者の失敗談
筆者が受験した138回の会計学では連結包括利益計算書が初出題されました。
筆者はその問題に20分以上かけて結局時間切れ。
商業簿記や会計学のABランクの問題全てに手を付けないまま本試験を終えます。
未出題論点でパニックになり、解ける問題を解かずに終わってしましました。
実際の傾斜配点
初受験で傾斜配点を体験する
138回受験後の自己採点では会計学は1桁台、足切り不合格を確信。
しかし実際は12点、みんなができる箇所は配点が高いことを知ります。
結果は不合格でしたが、簿記1級の合格戦略が見えた気がしました。
2回目の受験で諦めかけた
2回目の受験は140回でした、この回は工業簿記が超難問でした。
問題を見た瞬間凍りつきます。
また半年勉強しなきゃいかんのか、いったいいつになったら受かるんや・・・
そんなネガティブ思考の中わからない箇所は飛ばし、できる箇所だけ一生懸命解いて試験は終わりました。
傾斜配点のリアル
140回工業簿記の模範解答です。
この中で筆者が正答したのは
- 問1か問2のどちらか(記憶が曖昧)
- 問3の製造原価報告書のうち1箇所(記憶が曖昧)
- 問4
たったこれだけ。
TACの予想配点で工業簿記は4点とかでした、足切り確定です。
しかし実際の配点は12〜14点(記憶が曖昧)で合格していました。
たった3箇所、簡単な所だけ正答で自己採点より8点以上アップです。
市販の過去問集と本試験の違い
TACや大原の過去問集の予想配点は、均等に配点が振られていますが実際は違うんです。
難問奇問の場合は基本問題にかなり傾斜がかかります。
解答するのは基本問題だけで大丈夫。
5点UPを狙う本試験問題の解き方
本試験は一発勝負
実力があるのに受からない人は解く順番が間違っています。
普段の問題演習から時間内に最大限得点できる解答順序を確立しておきましょう。
どんな問題でも自分の実力を答案用紙に反映させる力が必要です。
実力があるが故にBランク問題もかなり解ける状態。
ここに落とし穴があります。
優先すべきはAランク
Bランク問題は大きな配点はありません。
Bランクを解いているうちに時間が足りなくなって、手付かずのAランクはありませんか?
時間ギリギリにAランクに手を付けて、焦って間違えたりしてませんか?
解答順序はAランク→Bランクを徹底してください。
Aランクを全て解答してからBランクを解きましょう。
解けるBランクでも無視して、まずはAランク優先です。
それでも受からないなら
解答順序を徹底すれば時間切れで実力が反映できかったということは無くなるはずです。
実力を100%反映しても合格できないならそれは単純に実力不足だということです。
必ず基礎論点に穴があるはずです。
基本問題を時間内に取り切る実力があって、それを答案用紙に100%反映できる発揮力があれば受かります。
人生を変えるには行動するしかない
簿記1級は税理士を目指す上で必須ではありませんし、確かに回り道かもしれません。
だけど筆者自身、この資格で転職できましたし人生を変える破壊力がある資格だと実感しています。
簿記1級を目指してる方は経理職や会計業界に転職したいだとか、税理士試験の受験資格のためとか「訳あり」な方が多いでしょう。
筆者も数年前まで「訳あり」の人間でした。
日商簿記1級に合格して転職して今は「それなり」の人間です。(たぶん)
筆者は「訳あり」の皆さんを心から応援しています。
人間やればできます、やってダメならもっとやりましょう。
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