20代後半に将来への不安から簿記の勉強を始め3級、2級と順調に合格をしました。
その後ステップアップで簿記1級を目指すことを決意。
独学2回の受験で運よく合格できました。
簿記1級は2級までと違って相対試験です、合格には戦略が必要です。
この記事では筆者の簿記1級合格までの道のりを紹介します、長いので目次から読みたいところだけ読んでください。
相対試験とは?
何点以上で合格ではなく、上位何%が合格という試験形式のこと。
この記事でわかること
- 簿記1級の概要
- 簿記1級の難易度
- 簿記1級を取得するメリット
- 簿記1級の独学を今すぐやめるべき理由
- 合格までに必要な勉強時間のリアル
- 筆者の合格体験記
- 筆者の転職体験記
簿記1級の概要
簿記1級とは
極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。
合格すると税理士試験の受験資格が得られる。公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門。
日本商工会議所HPより
一般的には簿記1級とは日本商工会議所の簿記検定、通称「日商簿記」の1級を言います。
簿記検定の最高峰として経理や事務をしている方々にとっては憧れの資格。
簿記1級持ってます!と言うと商業高校出身者にべた褒めされますw
税理士試験の受験資格になる
合格すると税理士試験(税法科目)の受験資格を得られるため、公認会計士や税理士受験生など職業会計人を目指す方々も受験します。
日商簿記1級は大企業の複雑な経理にも対応できるほどの非常に難しい学習内容。
合格すれば大企業の経理部門や中小企業の管理職、会計事務所などさまざまな業種への転職で有利です。
簿記1級の試験日程
毎年6月と11月の年2回開催。
合格発表は約2ヶ月後、各商工会議所によって合格発表日が違います。
簿記1級の合格率
直近の合格率は約10%で表向きは70点以上で合格の試験です。
簿記1級は相対試験
しかし実態は合格者が一定数になるように調整された相対試験です。
毎回、試験問題や受験者層も違うのに合格率に変動がないのはおかしいですよね?
簿記1級は合格率が一定になるように得点調整されています。
簿記1級はこの仕組みを理解していないと一生合格できません。
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簿記1級の難易度
簿記2級との違い
1級の勉強を始めてまず驚くのは、そのボリュームと各論点の難易度でしょう。
2級のテキストは商業簿記と工業簿記合わせて2冊。
1級のテキストは商業簿記・会計学と工業簿記・原価計算の合計で8冊になります。
量は4倍ですが、内容も難しいので体感的に10倍ぐらいの差があります。
本気じゃないと挫折する
全範囲を学習するだけで多くの人が挫折してしまいます。
中途半端な気持ちでの勉強は時間が無駄になるのでオススメしません。
簿記1級を取得するメリット
税理士試験の会計科目で圧倒的に有利
簿記1級に合格した時点で税理士試験の会計科目(簿記論、財務諸表論)では、上位30%以内に入ります。
簿記論に関しては過去問演習でボリュームになれるだけで試験対策はOK。
財務諸表は表示科目と理論を補うだけで苦労せず合格できるでしょう。
経理や会計事務所の転職で圧倒的に有利
日商簿記1級に合格していれば経理・会計業界の転職には困りません。
筆者も実際に1社目で採用されましたし、他の合格者も同じようです。
日商簿記1級が評価されないなんてありえません。
もしそんな会社があればこちらから断ってやりましょう。
年収アップが狙える
筆者は簿記1級に合格後、転職して年収は約2倍になりました。
簿記1級に合格すれば年収500万は余裕で狙えます。
簿記1級ホルダーの中には年収1,000万プレイヤーもいます。
簿記1級の独学はやめよう
数年前と違って今は簿記1級講座もかなり安いです。
独学+数万円で専門学校が利用可能。
相対試験で独学は不利です、本気で合格したいなら専門学校に行きましょう。
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簿記1級合格までの実際の勉強時間
簿記2級から1級初受験まで
2級に合格し、すぐに次の1級に向けて勉強を始めました。
当時は週に1日しか休みの日がなかったので、週の勉強時間は24時間前後。
1級の試験まで5ヶ月しか無かったので、とにかく全範囲のテキストを消化していました。
初受験は実力不足で不合格でした。
500時間では全然時間が足りません。
簿記1級合格までの勉強時間
勉強ペースは前回と同じ、週24時間×4週×6ヶ月で580時間くらいです。
累計の勉強時間は1,060時間といったところでしょう。
2回目の受験で合格できました。
自己採点はボロボロでしたが、結果は合格でした。
簿記1級合格体験記
まずは全体像を把握しよう
1級の勉強は想像以上の難易度で、1つ1つ理解してから先に進もうとしてもなかなか思うように進みません。
1周目は完璧に理解できなくて当然なので、わからなくても先に進んで、まずは全体像を把握するほうが絶対にいいです。
テキストを何周もしているうちに必ず理解は追いついてきます。
初受験は不合格
1級初受験のときはテキスト全範囲をやっと終わらせて、過去問題集を少し解いた程度でした。
本試験では会計学で包括利益計算書が初出題。
当時は1級が相対試験だということすら知らなかったので試験中にパニックになり、解くべき基本問題も手付かずで時間切れという悔しい結果となりました。
ライバルがどんな勉強をしているのか気になり始める
1回目の受験のあと勉強は継続していましたが。
本試験の包括利益計算書のショックが強く、「専門学校の受験生はどんな論点を学んでいるのか?」と疑問が生まれます。
ですが地方の自宅で勉強していた筆者にはそういった友人はいません。
当時は専門学校に行くお金もありませんでした。
捨て問の存在を知る
なのでネットで会計士スレで情報取集したり、Youtubeで1級の講評動画を見て研究しました。
特にLECの富田先生の講評動画は良く見ていました、そこで本試験には「やらなくてもいい問題」があることを知ります。
テキストに載ってない論点が出ても無視していいのか!
過去問と理論対策を導入
その後はひたすらテキストの読み込みと例題を完璧にすること、それと過去問題集を回しました。
10年分の過去問を5回ずつは回しました、出来の悪い問題はもっとやりました。
過去問題集で点が取れるようになってから、理論の穴埋め対策として理論教材も追加しました。
知っておくべき学習曲線
勉強してもなかなか成績が伸びないと悩んでいませんか?
「勉強時間に比例して成績も綺麗な右肩上がりで伸びていく」
これ、間違いです。
頑張って勉強しても成果が出てくるのはずっとずっと先。
何度も何度も過去問と基本問題を繰り返すうちに、突然各論点がつながり始めます。
テキストの内容が急に理解できるようになります、この状態になるまで根気よく勉強を続けてください。
TACの全国模試で上位10%に入る
試験直前に実力を試すのにTACの全国模試に申し込みました。
自分のわかるとこだけに手をつけて、結果は上位10%以内。
この結果で「テキストに載っている基本論点さえ取り切れば合格できる」という自信がつきました。
過去問の解き方も確立され、2回目の挑戦となります。
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模試の好成績が自信になった
前回とは違い「捨て問題」や「傾斜配点」があることはわかっていて。
さらに模試で上位10%に入ったこともあり
ワイがわからない問題は他の人もできない。
そんな自信がありました、模試を受けるのはおすすめです。
工業簿記の○ソ問に絶望する
2度目の本試験は工業簿記で「推定簿記」を絡めた原価計算?のような見たこともない問題が出ました。
この問題を見たとき凍りつきました。
全体が勘定連絡図の推定簿記になっていて、1つ間違えると芋づる式に全ての数字がズレる系の問題だったからです。
非常に難しく、1箇所の推定だけでも「???」レベルの難問です。
諦めずに解答
「これは絶対にやばい問題だ」と感じたので原価計算を先に解き終え、再度工業簿記に戻るも「全然わからん」状態でした。
なんとか解答できそうなところを埋めて本試験は終了しました。
ネット上も工業簿記のあまりの難しさにお通夜状態でした。
ありがとう傾斜配点
数日後TACの模範解答での自己採点で工業簿記は4点ぐらいでした。
また不合格か、いつになったら合格できるんや・・・
そんなネガティブ思考で数日間、立ち直れないほどでした。
2ヶ月後の合格発表ではなぜか合格でした、得点開示請求をすると工業簿記はまさかの14点。
傾斜配点バンザイであります。
簿記1級合格後の転職体験記
1級合格日に退職
税理士試験の受験資格をゲットした筆者は、合格発表の日にハローワークに行き面談担当者に質問しました。
中卒で簿記1級に合格したんやけど、転職できる?
担当者の返事は「絶対にできます」
この時はじめて世の中に自分が認められたような気がしました。
ハローワークからの帰り道に当時の職場に行きそのまま退職w
ホワイト事務所の探し方
その後1月ほど無職を満喫しながら、色々な会計事務所のHPを見て就職先を吟味。
この時点では「5年ぐらいで税理士試験を突破して独立」という甘い考えでした。
以下の2つは候補から外しました。
- 残業が多い事務所
- 従業員の入れ替わりが激しい事務所
残業は繁忙期の夜に事務所周辺に行って、明かりがついているか確認しました。
従業員の入れ替わりは事務所のの満足度(ブラック企業度)を示します。
職員が書いてるブログとHPの現在の従業員一覧とのズレで、長く勤めている職員がどのくらいいるのか確認しました。
今後は「相続税が儲かる」と業界未経験ながら感じていたので、「相続税の申告が多い」と記載のある事務所を選びました。
相続税の申告が多い事務所は高収益なので給与水準に期待できます。
30代未経験で1発採用
じっくりと選んだ結果いい条件の事務所があったので、応募したところ見事に1発で採用となりました。
入所してから所長に聞いたら「独学で日商簿記1級合格」というのは、学歴のハンデがあってもかなりの評価ポイントだったようです。
地方の事務所ですが、筆者の前は50人以上が面接まで行って結局全員不採用。
ここで改めて日商簿記1級の効果を体感することになりました。
最近では会計事務所への転職は転職エージェントを利用すると、ハローワークでは扱っていない非公開求人も簡単に探せるのでオススメです。
簿記1級で人生を変えたいなら今すぐ行動を
簿記1級は難しいです、間違いない。
筆者は運良く独学で合格できましたが、1級はやっぱり専門学校で半年から1年じっくり勉強するほうが効率的です。
半年、1年の努力で人生が大きく変わるならコスパが良いと思いませんか?
1級は「みんなができる問題ができること」が最重要なので、ライバルと同じ勉強をすることが大事。
教室に通う時間がなくても通信講座で充分。
筆者は今まで通信講座のみで税理士試験も科目合格しています。
専門学校では「試験に出ない論点はやらない」メリハリをつけた授業なので、独学であれこれ悩んで立ち止まっていた時間は本当に無駄でした。
筆者は日商簿記1級に合格して人生が変わりました、本当に努力して良かった。
受験資格を手にした筆者は税理士試験に挑戦することになります。
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